retireSakiの日記

たぶん引退した?ソフトウエアエンジニアのブログ

今さら聞けない!ブルートゥース(Blurtooth) のあれこれ

 久しぶりにBluetooth機器のヘッドフォンなど購入しました。久しぶりというのが、10年ぶりくらいになりますww

 そこで、最新の Bluetooth のあれこれを調べてみました (^o^)v

ちなみに、このロゴは北欧の長枝ルーン文字のハーラル・ブロタンの頭文字の H と B を組み合わせたものらしいですよ。

 以前は、仕事でBluetoothを使ったセンサーデータを取得する機器を設計・開発していたので詳しかったのですが、一線を退いてから調べたのは今回が初めてですね(笑)

 この記事の後半に、気になるBluetoothイヤフォンtの音質やiPhoneXなどで使えるイヤフォンとの話があります。

Bluetoothのバージョンと互換性

 Blunetoothは無線LANより近距離の無線通信規格の1つ。2.4GHz帯を79の周波数チャネルに分け、使用する機器同士が合いている適切なチャンネルを使って、10〜100mぐらいの最大3Mbps(HSは24Mbps)で通信します。
 現在、Bluetoothには 1.0b, 1.0b+CE, 1.1, 1.2, 2.0, 2.1, 3.0, 4.0, 4.1, 4.2, 5.0 のバージョンが存在し、データ転送速度や通信距離などが改善されています。実質 1.1以降が一般に普及されました。

 各バージョンは、1.1以降~3.0、3.0+HS、4.0~の3グループで通信方式が違うので、各グループ内でのみ互換性があります。
複数の通信方式を同時に実装できるので、利用者側が非互換性を意識する必要が無いようしている場合が多いです。いわゆる上位互換というやつです。

バージョンによって何が違う?

 以下にバージョンによる違いを大まかにまとめました。
◆ 1.1
 Bluetoothの最初の普及バージョン
◆ 1.2
 同じ周波数帯(2.4GHz)の無線LAN などとの干渉対策。
◆ 2.0
 最大通信速度を3Mbpsの通信に切り替える Enhanced Data Rate (EDR) がオプションで追加。
◆ 2.1
 ペアリングが簡略化と近距離無線通信の Near Field Communication (NFC) に対応。
Sniff Subrating 機能により、マウスやキーボードなどのスリープ時間が多い機器のバッテリーを延長可能。
◆ 3.0
 High Speed (HS) により最大通信速度が24Mbpsとなるオプションを追加。
電力管理機能を強化して省電力性を向上。
◆ 4.0
 Bluetooth Low Energy (LE) により大幅に省電力化。家電製品などに搭載されたセンサとのデータ通信に向けデータパケットサイズを小さくなった。
これにより、旧バージョンとの互換性が無くなったため、接続ホスト側が両対応の「デュアルモード」を実装可能になりました。
◆ 4.1
 通信サービスの電波との干渉を軽減。データ転送の効率化。自動の再接続機能。
直接インターネット接続できる機能、ホストとクライアント同時になれる機能、が追加。
◆ 4.2
 Bluetooth Low Energy (LE)に Data Packet Length Extension を追加。
通信速度(スループット)が高速化。IPv6/6LoWPAN でインターネット接続。
◆ 5.0
 データレートが2Mbps, 1Mbps, 500kbps, 125kbpsになりました。
1, 2 Mbpsでは従来通りに到達距離が100m だが、125kbpsは到達距離が400mとなりました。

違うバージョン同士で使えるかどうかは...

 上位互換とはいえ、それは規格で定められているものではないですので、内蔵しているBluetoothがそのバージョンの専用チップだと、機器同士が接続できないこともあります。
また、機器やチップの製造ロットによっても変わることが多いので、最新の互換情報を調べたほうが良いです。基本的に悪化することはないですし (^^ゞ
同じ製品でも、古い製造ロットでは使えなくても、新しいせいぞロットでは使えたという話はよくあります。

通信がよく切れる原因の1つ

 "Bluetoothイヤホン、ちょっと離れていると通信が切れる感じする"といったことはありませんか?!

 Bluetooth機器にはBluetoothチップが内蔵されていて、そのチップによって受信感度が異なります。当然受信感度が低いチップを使っている機器は、同じバージョンのBluetoothでもより近い距離でないと使えないですし。周辺ノイズが多くなっても当然同じことが起こります。

Bluetooth のクラスって?

 Bluetooth機器の仕様書などに、よく Bluetooth 4.2 Class 2 というように Class X やクラス X のように書かれている場合があります。

 Class表示には 2種類あります。

◆ 到達距離によるクラス(BR/EDR)
 Class 1 は 100mW-100m
 Class 2 は 2.5mW-10m
 Class 3 は 1mW-1m
◆ 出力によるクラス(LE)
 Class 1 は 100mW
 Class 1.5 は 10mW
 Class 2 は 2.5mWClass 3 は 1mW

 これらは、いわゆる電波強度を指しています。接続機器同士が同じクラスである必要はないです。
Bluetoothのチップが持っている使用目的(プロファイル)などによって、いずれかに設計されます。

Bluetoothプロファイルって何?

 機器にプロファイルという言葉がでてきます。通信機同士が同じプロファイルをサポートしていないと使えないので、注意が必要です。例えば、ホスト側がBIPやBPPをサポートしていないのに、Bluetooth経由で(BIP,BPPの)プリンターで印刷しようとしてもできないということになります。

 特にホスト側で多目的に使用することを前提にしたBluetoothアダプタを購入する際に、気をつけなければならないです。
以下はその一部です。* は廃止されたもの。

◆ 3DSP 3D Synchronization Profile
 3Dメガネとテレビを接続。
A2DP Advanced Audio Distribution Profile
 デジタルオーディオプレイヤー 〜 ヘッドフォン間などで使用
AVRCP Audio/Video Remote Control Profile
 デジタルオーディオプレイヤー 〜 リモコン間などで使用。
◆ BIP Basic Imaging Profile
 携帯電話 〜 プリンタ間などで使用
 画像の送受信や印刷。
◆ BPP Basic Printing Profile
 携帯電話 〜 プリンタ間などで使用
 電子メールや画像、プレーンテキストなどの印刷。
◆ CIP * Common ISDN Access Profile
 ISDNが提供するサービスやデータにアクセス
◆ CTP * Cordless Telephony Profile
 コードレス電話を使用
◆ CTR Calendar Tasks and Notes Profile
 カレンダータスクとノート
◆ DI Device Identification Profile
 SDPを利用しデバイス固有の情報を提供
◆ DUN Dial-Up Network Profile
 Bluetoothの無線接続経由で、インターネットや他のダイアルアップサービスにアクセス
◆ FAX * Fax Profile
 PCなどからFAX送信を行なう
FTP File Transfer Profile
 2台のPC間でファイル転送
 ちなみにネットなどで使うFTPとは関係がない
◆ GAP Generic Access Profile
 他の全てのプロファイルの基礎として機能で 機器の接続、認証、暗号化などを行う
 A2DPとVDPの基礎
GATT Generic Attribute Profile
 Bluetooth Low Energyを利用するすべての通信のベース
◆ GAVDP General Audio/Video Distribution Profile
 ビデオストリームやオーディオストリームを配信
 A2DPとVDPの基礎
GNSS Global Navigation Satellite System Profile
 GPSなどの測位情報を伝送
◆ GOEP Generic Object Exchange Profile
 ファイル転送の基礎
◆ GPP Generic PIM Profile
 PIM
◆ HCRP Hard Copy Cable Replacement Profile
 PC 〜 プリンタ間で使用
 ファイルの印刷・スキャンを行なう
◆ HDP Health Device Profile
 健康管理機器を接続
HFP Hands-Free Profile
 携帯電話 - ヘッドセット間などで使用
 電話の発着信や通話を行なう
◆ HID Human Interface Device Profile
 キーボードやマウスなどで使用
HSP Headset Profile
 PC・携帯電話 〜 ヘッドセット間などで使用
 音声入出力を行なう
◆ ICP * Intercom Profile
 2台の携帯電話を直接接続するために使用
◆ IOPT Interoperability Profile
  すべてのBluetooth対応機器に適用
 相互運用性を定義
◆ LAP * LAN Access Profile
 Bluetoothを利用して無線LANを構築
◆ MAP Message Access Profile
 デバイス間でメッセージオブジェクトを交換
 GOEPを基礎として使用
◆ MPS Multi-Profile Specification
 複数のプロファイルのサポート
◆ OPP Object Push Profile
 携帯電話 〜 携帯電話間の電話帳やスケジュールのデータなどを交換するために使用
◆ PAN Personal Area Networking Profile
 1台のPC(マスター)〜複数のPC(スレイブ)を無線接続
◆ PBAP Phone Book Access Profile
 電話帳情報を伝送
PVP PHS Voice Profile
 PHS電話機をゲートウェイとして、外部のハンドセットからダイアルや音声通話を行う
 ウィルコム独自
◆ SAP SIM Access Profile
 GSM(2G)方式のSIMカード、UICC、R-UIMカードにアクセス
◆ SDA * Service Discovery Application Profile
 他のBluetoothバイスを検索
◆ SPP Serial Port Profile
 PC間において仮想シリアルポートを設定し、接続するために使用
◆ SYNCH Synchronization Profile
 GOEPとともに使用し、PCや携帯電話など各デバイス間で各種情報(カレンダーやアドレスなど)を共有するために使用
◆ VDP Video Distribution Profile
 ビデオカメラ 〜 モニタ間などで、ビデオデータをストリーミング配信

音楽プレーヤーのBluetooth コーディック

 MP3やスマフォなどの音楽プレーヤーをBluetoothで再生する場合、A2DPのコーデックにSBC (Sub Band CODEC)が使われることが多いです。しかし、SBC以外の音質等を改善した独自コーデックも採用する機種が増えているため、これが合っていないBluetoothイヤフォンは使うことができません。

 現在、A2DPのコーディックにはいかのものがあります。
◆ SBC
 標準コーデック
 音質の劣化あり48kHz
AAC
 Apple製品対応などで使用し、製品により音質様々
 音質の劣化あり最大96kHz/最大48チャネル
◆ aptX
 CD音源並48kHz/16bit
◆ aptX Low Latency
 CD音源並48kHz/16bit
◆ aptX HD
 aptX ハイレゾ対応48kHz/24bit
◆ LDAC
 ソニーが発表した新方式
 96kHz/24bit ハイレゾ対応

 音質としては大まかに
SBC < AAC < aptX (aptX Low Latency) < aptHD < LDAC < 有線イヤフォン

例えば、BluetoothイヤフォンにCSR8645というチップを採用している場合、Bluetooth 4.0仕様に準拠で、SBC, AAC, aptX のコーディックに対応しているので、iphoneなどに対応し、プレイヤー側がaptXに対応していればCD音源なみの音質を再生できるということになります。

 細かく書くともっと複雑になるのですが、ざっとこんなところでしょう。

iPhone,iPad,iPodで使えるBluetoothイヤフォンって...

 iPhone Xなどで使えるBluetoothイヤフォンの商品例。

 ネットを見ていると『このBluetoothイヤフォンはiPhoneXで使えますか?』というような質問をしているケースが多々あります。

 Androdなどのスマフォを含む一般的なBluetooth機器と違って、iPhoneiPadiPodBluetooth データ接続を確立するには特別な検出クラスと認証が必要です。このため、全てのBluetooth アクセサリに Apple 認証コプロセッサが必要です。
独自機能を組み込むの大好きなAppleらしい戦略です。

 格安のBluetoothイヤフォンは販売している側もよく知らないで販売しているケースが多々見受けられます。
iPhonxXで使えるかとか明記することは、販売する側にとって大きなメリットです。それを明記していないものは、iPhoneとの接続ができない、接続できても何らかの機能的に未対応の可能性もあります。

 結果的に、そのBluetoothイヤフォンがiPhoneで使えるかどうかは、イヤフォンメーカーや正規の販売店に直接聞くのが一番の近道ですね (^o^;)

 

 

 

 

注目記事

「Amazon.co.jpアソシエイト」または「[乙の名称を挿入]は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。